またしても、フィールドフォースを象徴するような商品が登場する。上市予定は6月ながら、フィールドフォース社長・吉村尚記のSNSに登場するや、話題となっている「エアーティー」FBT-900。遊び心満載、しかしフィールドフォースの商品開発において満たすべき機能をすべて備えた、スターター向けの練習ギアだ。
ブリキのおもちゃ!? いえ、ティー台なんです

今は懐かしい、ブリキのおもちゃのロボットのような外観だ。プロトタイプを一見し、そんな感想を伝えると、吉村は
「でしょ。でも、れっきとした練習ギアなんですよ」
と言い、ニヤリと笑った。
「発想は海外のおもしろ動画からなんです。ドライヤーの風でピンポン玉を浮かせて遊んでいる動画です。それを見て、『あっ、これだ』となったんです」
6月に発売予定の新商品「エアーティー」FBT-900は、上部の吹き出し口からの送風により、ピンポン玉と同じ大きさのEVA樹脂製ボール「ミートポイントボール」を浮かせ、バッティング練習を行うためのマシンだ。
通常のティーバッティングにおけるティー(tee=球座)の役割を空気(air)が担うことから、この商品名となった。
スターター用に特化、「はじめの一歩」にもぜひ!

このマシンには、いくつかの特徴がある。そして、それは後述する商品開発の経緯とも大きくリンクしている。
「まずひとつは、このエアーティーは野球を始めて間もないスターター、子どもたちに向けた商品であるということです」
吉村が解説する。
「ティースタンドを使った置きティーって、どうしてもボールを置くティー台にバットが当たります。ボールをちゃんと飛ばそうとすると、ボールの中心よりも下を打つ必要があるわけですから、正しいスイングをすれば、必然的にバットがボール受けに当たることになる。ただ、これは野球を始めたばかりの子どもたちにとっては特に、結構なストレスになるんです」
スイングの軌道が少し下にずれ、ティー台を倒してしまおうものなら、なおさらだ。しかし、それを避け、ボールだけにバットを当てようとすると、正しくないスイングを繰り返すことになり、かえって悪癖をつけてしまう結果になりかねない。
「実は以前から、このストレスを子どもたちに与えることなく、ストレスフリーで取り組めるティーバッティングのためのギアを作れないかな、とは考えていたんです。エアーティーの開発を思いついたときに、最初に考えたのは、これでクリアできるんじゃないかということだったんです」
吉村はそう言い、うなずいた。
室内使用に特化。カーテンに向かって打つべし!

もう一つの特徴とは…。吉村が続ける。
「室内での使用に限る、ということです。屋外で使うと、どうしても風の影響を受けてしまうためです」
空気の力でボールを保持する仕組みなのだから、当然ではある。
スターター向けであること、室内での使用という2つの条件を決めたことで、使用するボールも、おのずと決まった。
「室内で安全に、勝手良く使えるミートポイントボールです」
EVA樹脂製で直径40ミリ、重さ約3グラムのミートポイントボールは、壁や家具に当たっても、それらを傷つける恐れがなく、室内でも思い切り使えるため、小さな子どもにはもってこいの選択といえる。
これまでに販売されたミートポイントボール使用ギアには、「インドアバッティングマシン」FPM-103(現在は廃番)、「ミートポイントボール・トスマシン」FTM-401ADがある。

軽いために室内でも思い切り打つことができる一方で、しっかりと芯はあり、打感もあるミートポイントボール。室内で気軽に取り組める練習のバリエーションが増えることは、スターターにとっては朗報といえるだろう。
「すでにマシンなんかをお持ちで、ミートポイントボールを使っている方にも、とっつきやすい商品だと思いますよ」
さらに加えるなら、飛んでくるボールを打つこれまでのマシンよりも、止まっているボールを打つエアーティーの方が難易度は低い。野球未経験者の「最初の一歩」として考えてもいいかもしれない。
とことんシンプルに、コスパにもこだわりあり

上記の使用条件を早い段階で設定したこともあり、試作から始まる商品開発はかなりスムーズに運んだ。
たとえば、「ボールを浮かす」という命題を比較的容易にクリアできたのは、軽いミートポイントボールを使うことに決めていたからにほかならない。
「ボールが軽いこともあって、うまい具合に浮いてくれたのももちろんですが、空気がボールを包むように流れることで、最初から、思っていた以上にボールが安定したんです」
と吉村。スタート地点でミートポイントボールに限定せずに進めていたら…。
「大きなボールを使っても可能でしょうが、その分、かなり大掛かりなものになったはずです。時間もコストも大変なことになっていたでしょうね…」

ボールの高さについては、風量を調整することにより、自分で調整できる仕様も考えたというが、早々にボツにしたという。
「最終的には、ボールは吹き出し口から40センチ弱の高さで落ち着いたのですが、これくらいが一番、安定するんです。風量を増やすことで、これより高めに設定することはできますが、ブレが大きくなるなど、安定しません」
そこで考えついたのが、電気に頼らず、3段で伸びる2本の脚の伸縮により高さを調節する仕組み。内部のバネの強さとパイプ同士の摩擦により、ネジなどを使わず無段階で伸縮できる、「フォースティー」FBT-333の仕組みを流用した。
「脚を伸縮することで、吹き出し口が約26~51センチの間で調整できます。ボールの高さでいうと約65~90センチ、といったところでしょうか」
さらに原始的だが、それ以上に高く設定したければ、下に台などを置けばよい。こうして高さ調整をすべて手動にしたことで、電源周りはON/OFFスイッチだけとなった。また、室内での使用に限定したことにより、電池駆動の考えを切り捨て、電源も家庭用コンセントを使う、付属のACアダプタのみとした。
室内練習はフィールドフォース発の文化なのです

簡単、安定を突き詰め、とことんシンプルに。
「動作の安定ももちろんですし、コスト面でもかなり詰めることができました」
と吉村。
予定価格は9,900円(税込み)。物価高騰のこの時期だからこそ、コストパフォーマンスにもこだわった価格設定とした。
「ミートポイントボールを使い、カーテンに向かって思い切り打つ。言ってみれば、この練習はフィールドフォースの創り出した文化ともいえるものだと思っています。その系譜を受け継ぐマシンでもあるわけです」
その仕組みから、一見、複雑そうに感じられるエアーティーだが、機械的な調整はなく、ユーザーが操作するのは電源のオン・オフと、脚の伸縮のみ。
至ってシンプルで、導入のハードルも低い。それでいて、フィールドフォースが商品開発の指針にしている6つのキーワード「簡単組み立て」「楽々移動」「省スペース」「パートナー不要」「実戦感覚」「繰り返し練習」の全てを併せ持っているエアーティー。ストレスなく、楽しんで取り組めるティー打撃を試してみてはいかがだろうか。